子どもと絵本を結ぶ Vol.181
絵本の紹介をさせていただきました✨️
目次
『世界のあいさつ』〈みるずかん・かんじるずかん〉
長 新太 さく
野村雅一 監修
福音館書店
あいさつから 世界を知る旅
今、おじぎをしてしまったけれど、どうしてだろう。世界のあいさつを調べるために、おじさんとネコは旅に出ます……。
世界各地で交わされるさまざまな「あいさつ」を、言葉だけでなく、しぐさや表情、距離感を通して描いた絵本です。ページをめくりながら、その土地の空気や人と人との関係性を感じ取っていくことができます。日常のひとこまの中に、文化の違いが描かれています。
一九八九年に刊行された本書は、今のようにインターネットで簡単につながれなかった時代の空気をまとっています。抱き合う、キスをする、ツバをはく、握手をする——。多様なあいさつのかたちが描かれ、出会いの瞬間に生まれる敬意や親しみの思いが、行為として表れているのだと気づかされます。
私がこの絵本に出会ったのは、世界のことをもっと知りたいと思ったときでした。日本文化体験施設で海外から訪れた方々と接する中で、言葉が十分に通じなくても、おじぎや笑顔、所作によって心が通い合う瞬間に、何度も立ち会ってきたからです。日本文化に興味を持ち、愛情をもって向き合ってくれる人が世界にいることを、日々実感しています。
日本では当たり前の言葉「おはよう」「こんにちは」「いただきます」や、おじぎという所作が、世界では珍しい文化であることも記されています。日本で育った自分の感覚を、少し引いた視点から見つめ直すことができました。「あいさつ」が世界とつながる原点なのだと、静かに感じさせてくれる一冊です。


コメント